きみと歩く時々走る

重複障がいのある息子とのこれまでと今

小さな小さな世界の大きな幸せ1

私は大きな世界で生きたいと思っていた。

 

はじめてのおつかいも、

はじめてのひとり旅も、

かなり早かった。

一人で行動するのが好きだった。

 

大人になったら日本中どこにでも、なんなら世界に出ていくのもあまり怖いと感じなかった。

 

だけど。

高校生になる直前、病を得た。

薬の副作用か、病のせいか。

集中力も持久力も、理解力まで低下したのを感じた。

頭の回転が急激に落ちて、体力が気持ちについていかない。

衝撃だった。

自由ではあるが、能力がないと簡単に留年する高専に入学した私はそれでも頑張り、専攻科という学士課程まで修めた。

 

しかし、病は私の足枷になり。

思うような就職には至らなかった。

 

就職した後、更に別の病を得てしまい私は結婚したのちに見切りをつけて職を手離した。

 

健康ならば

 

私はしたいことが山ほどあった。

 

でも。

 

自ら病を得て、更に子供が死に近しい病をもち生まれ、治療過程で障害を持つことになった。

 

だから私の人生は真っ暗だったか?

 

というとそうではない。

 

小さな世界で生きることになったが私はそれなりにその世界をいつも楽しんできた。

 

もちろん、息子が生まれて10年くらいの間は地の底を這うような苦しさがいつもあった。

 

楽しんだか?

 

と問われたら

死なないために楽しんだ

と答えたい。

 

実際、息子の障害は日を追う毎に増え、

更に私はまたひとつ病を増やし、

縛りが増え続けた。

もうじり貧だ。

 

楽しみは死にたくなる気持ちを切り替えるためのまやかし物だったとおもう。

ただ。

まやかし物でもまやかされれば本物に近いものにはなる。

自分を騙しながら生きてきた。

 

私が生きたかった人生はこれじゃない‼️

って心のなかに哀しみがあった。

私の今までの頑張りはなんだったのかと悲しくなっていた。

 

それを

アブラカダブラ

ヴィヴィデバビデブー

テクマクマヤコン

ありとあらゆる呪文で

と自分を騙しキラキラした魔法をかけて誤魔化した。

 

滅びの呪文や

死の魔法を

口にしないように気をつけて気をつけて魔法を使いながら生きてきた。

 

 

そしていま。

私は

小さな世界で生きることにまやかしではない幸せを感じている。


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2に続く