きみと歩く時々走る

重複障がいのある息子とのこれまでと今

米澤穂信という作家

私にはたくさん好きな作家さんがいる。

そしてキャラクターもいる。

その話しはまた別の機会にすることにして。

今日は

米澤先生の話をしよう。

私は昔から本が好きだったが、息子が小さく入院をしている時は

所謂いま、メジャーな作家さん

しか読めず⬅️病院の売店が私の本との接点だった

入院が少し遠退くと、本屋や、図書館で新しい作家に出会えた。

クドリャフカの順番

それが私と彼の出会いで、そこから一度氷菓に戻り、むさぼるように彼の作品を読んだ。

彼が寄稿するから色々な作家さんとの合同短編集も買った。

そして新しい作家さんにもであった。

それでも私がまず行くのは

という作者の名前の本が並んだ棚だ。

一目散にそこへ向かう。

お分かりだろうが、その頃の私にはあまり時間がなくて隙間時間でページをめくれても、本屋や、図書館に行くのは貴重な時間だった。

だから小走りで

に向かう。

 

そして、ある日。

異変が起きた。

文字が滑るのだ。

大好きな本の世界に入っていけなくなった。

衝撃で原因不明のその現象に私は認知症を疑い、怖くて本から遠ざかった。

暫くしてパニック障害が発覚し。

私は本を忘れた。

余裕がなくなった。

 

近年、少しよくなったと思った。

息子の入院の付き添いの、ために久々に本を買った。

王とサーカスほか数冊

勿論恋い焦がれた米澤先生の本たち。

開いた本の文字はまだすべってゆく。

文字がダンスをするように散り散りバラバラになり頭に入らない。

哀しかった。

あきらめて本を閉じたとき。

私はまだダメなのかと思った。

そのときは半年で二回目の入院付き添いだった。

よく考えたら落ち着いた日々がきたというのは

私基準であり、一般基準ではなかった。

手術室に送り出すのが普通になっている感覚は、ストレスがなくなったわけではない、むしろストレスが日常化していてもう麻痺していたのだ。

 

危険率低いから、いいよ、とんかつくん仕事休まなくて。

私一人で平気。

 

おかしいよね(笑)

 

 

もう読めないかもしれない。

彼の素晴らしい世界にはもう浸れないのだ。

私は落ち込んだし、息子の現実にも打ちのめされて帰宅した。

それから数年。

彼を思い出さない生活をしていた。

だから。

 

昨日の受賞は嬉しかった。

そして、

半ば諦め、もう治らなくても良いや、

と思っていた気持ちが動いた。

 

治りたい。

受賞作も本棚の王とサーカスや他の読めてない作品を読みたい。

 

彼の受賞は私に力をくれた。

だから、薬を減らすことに拒否感すら感じていたけど、頑張ろう。そう思った。

 

頑張る。

それが良い傾向なのかわからないけど。

とりあえず目的が出来た。

読めなくなった時間分彼の作品が私を待っていてくれる。

楽しみだ。大人買いして読んでやる❗