嘘とファンタジーの狭間。妖怪編
今の家はリノベーションして6年。
この家は築35年くらいだ。
からあげくんはリノベーション前の家で生まれて育った。
その家もリビングとキッチンが繋がった作りだった。
ちなみに、義父が立てたその家は可愛らしい内装だった。
本物のレンガのガス台のかべ、真っ白いホーローのキッチン扉。
大きな出窓にアールの垂れ壁。
三つのライトが吊るされたカウンターテーブル
木のアクセントウォールにガラスのブラケット。
アールの垂れ壁はあちこちに。
しかし、水回りが壊滅的にやられてしまったのと。
主婦目線ではない掃除のしにくさ。
田舎の家らしい、普段は使わない二間続きの和室などがあり、暮らしにくくなっていた。
そして、古いキッチンの古い換気扇は風が強い日にはカタカタと音を立てていた。
鬼太郎が好きだった小学生のからあげくんが、
母さん❗あれなに?
と聞くので。
ああ、あれ?
妖怪 かんき せん だよ。
と答えた。
え?うち、妖怪おるん?
おるよー。
当たり前じゃん。
風が強い日にカタカタ言うだけでなんも悪いことせんよ。
ファンタジスタはノリノリだ❤️
かくして我が家には妖怪まで住み着いた。
あまりに気がつかないうえ、
あちこちで自慢げに話してくる。
だからこれは早い時期にカミングアウトしたが。
風が強い日は
かんき せん が騒がしいね。
とその後も話していた。
妖怪は一度住み着くとなかなか居なくならない。
とんかつくんにも思い出のいえだが。
家が崩壊しかねない水回りのトラブルから思いきってリノベーションをした。
建て直さなかったのは義父の形見のような家を完全に0にするのに抵抗があったのだ。
だから、かわらや欄間を残した。
リノベーションして寂しい事のひとつは
かんき せん
が居なくなったことだ。
こんな妖怪のいるいえは素敵だ。
ちょっとわくわくする。
あなたの家には妖怪は居ますか?
今日のような風のある日には
昔の家なら彼が
カタカタ カタカタ
と楽しげに笑っていたはずだ。
今のいえの換気扇は彼が住まうには情緒も歴史もなく
シーン
と静まり返っている。