昔、息子は黄色の幼稚園バスに憧れていた。
あれに乗って幼稚園に行くのだと楽しみに楽しみにしていた。
ある宗教施設が母体となり、地域でも評判のすこぶるよい幼稚園だったので私も息子をそこに預けたかったので、見学会などないか問い合わせをした。
いつでもみにいらっしゃってください❗
一応申し込みは秋です。
感じのよい返事だった。
実は障害があるので設備などみたり、加配などの必要があれば前もって息子とうかがった方が良いかと思ったのですがどうですか?
障害ですか?どのような?
このあたりで嫌な予感がした。
個人の病院で
うちでは診きれないからとお断りされる流れだ。
障害は。
話すと口調がかわった。
我が園では、子供達の情操教育のためにも障害のあるおこさんをすすんで受け入れていますが、少し厳しいかと。
私は呑気だった。
いきたいと思えばいける場所が、園であり、義務教育までの学校であった。
だから、粘れば入れるかしら?
と頑張った。
これは遠回しのお断りだったのだのに。
一応見学してお話だけでも?
とすすんで受け入れているにすがった。
園長は、障害のあるおこさんと言っても子供同士で助け合いフォローし合える程度までの子供さんを受け入れているのですよ。
では。年末にでもいらっしゃいますか?
と。
は?秋にうけつけですよね?
特別な方はまた後日で。
合否は三月末にお知らせいたします。
障害のあるおこさんは発育もゆっくりですからギリギリまで成長をみた上でになります。
ただ、そうなるとこちらでダメだということになると他の園を探すには難しいですよね。
どうしても来春とお考えならば他の園を当たられた方が良いかと。
というような話であった。
何が宗教団体だ、何が教育者だ!
年中さんの子供がフォローし合える障害なんて何があるんだよ?
そもそも、うちの子は他の園児の情操教育の教材じゃない。
カワイソウネ
コマッタコハマスケマショウ
アナタタチハケンコウダカラ
アノコヨリウエノソンザイヨ
それが宗教の教え?
私は静かに分かりましたと受話器を置き。
隣で目を輝かせていたからあげくんに向き合わねばならなかった。
かれはこういうのに聡い子で、既に無表情をはりつけていた。
ごめんね。
黄色いバスは乗れないみたいだよ。
うん、わかった。
絶対、いけるところ探すからね❗
うん。
からあげくんはそれ以来黄色いバスに声をあげなくなった。
あんなに毎回みていたのに。
療育の先生は、からあげくんは保育園の方が向いている。
知り合いのとことかで少しでも働ける?
あ、ひいおじいちゃんの介護をされてるならそれでも通るかな?
先生はお母さんは、普通に就労出来る状況ではないが、保育園で伸びるタイプだから絶対諦めないで行かせるべきだ
他の県では障害枠があるんだけどうちの市はないから就労や介護なんかの理由がいると教えてくれた。
実際、私も少し介護することもあったためその理由で保育園に入った。
役所では
え?お母さん働いてる?
保育園は働いてるお母さんのための施設だよ。
そんなにこのこといたくないの?
と虐待をしていないか疑うようなことも色々言われ、息子にアザでもないかというようにじっくりみられた。
しかも他の市民のいる窓口で。
唇を噛んで耐えた。
幼稚園は受け入れてくれる園でも、
母子通園してほしい。⬅️母の送迎で、園にいる間部屋の後ろで待機。介助は母が。
バスにはのせられないなど、
からあげくんにも私にも厳しく無理だった。
私はいくつも幼稚園、保育園をみて回り、本当に疲れはてた。
なにもかもが不条理で差別的で辛かった。
回りのみんなが当たり前にいける場所は、からあげくんには当たり前にいけないと何度も何度も宣告され、頭を下げ、うなだれ。
小学校の就学もそうだった。
私は更に頑張った。
そのはなしはまた今度。
とにかく頑張って。
確かに息子は伸びた。
療育の先生は間違ってなかった。
からあげくんの病気との闘いは生まれた直後からだったが、
社会との闘いはここからだった。
私は頑張った。
きっと、今頑張っているお母さんやお父さんが、確かにいる。
障害児の入園は既にこの時期には活動開始だ。
いつか、望む場所に行けるように。
まずは保育士さんの待遇をよくして、もっと余裕をもって貰えたら、少しずつかわるかもしれない。
きっと根はそこにある。