きみと歩く時々走る

重複障がいのある息子とのこれまでと今

悪意と善意。信じることと疑うこと。

からあげくんは騙されやすい。

見たまんま、いわれたまんまを信じてしまう。

 

母さん、ガスティーノってのシーザーじゃないかと思うんやけどどう思う?

☝️ONE PIECEの話し。

って言ったのはとんかつくんのお気に入りのお話だ。

 

いやいやそれは息子は天然ってはなしだろ?と思うが、基本は同じだ。

疑わない、信じる。

 

人の裏のある皮肉で意地悪なことばも裏を読まずに額面通りに受けとり。

なんなら、感謝してしまったり。

あれ?と思うことをされても。

いい人だものそんな意地悪すること無いよ。

そんなわけはない。

と受けとる。

 

そんなことだ。

 

幼いとき、歩けない息からあげくんを鬼にした鬼ごっこやかくれんぼをされたことがある。

先導した子は息からあげくんが歩けないことや、知的、発育に遅れがあるのを理解していて、実に意地悪な笑みを浮かべていた。

私は初めてのあからさまな悪意にどうしていいか分からなかった。

からあげくんと同じ歳の小さな男の子がこんなにも残酷なことをするなんて。

と圧倒された。

 

からあげくんは、嬉しそうに始めたがもちろん歯が立たず、大人がいる場所で一人で遊びだした。

あれ?みんなは?

と先導した子の祖父に聞かれたからあげくんは

遊んでたけど。どこかいったんよ。

とだけ。

笑っていた。

 

私も何もいえなかった。胸が痛かった。

情けない。

意地悪した子のためにもならなかった。

 

 

私は意地悪をした子供の親じゃなくて良かった。

人は悪意も善意も両方を内包していると思う。

幼いと知識や経験がないぶん、悪意を簡単に表出してくるのかもしれない。

周りの諌めや、自らの経験からそれが悪意であり美しくないと学ぶのかもしれない。

ただ、かれはあまりにも悪意のある事を繰り返していた。強者の前では借りてきた猫みたいになる子だった。

もうずいぶんあっていないが、彼は親に学んだだろうか?多くを経験しただろうか。

今もし美しい生き方をしているならば、彼はたくさんの努力が必要だっただろうし。

親も心を砕いて育てねばならなかっただろう。

 

 

からあげくんは中学生になるまで悪意の存在をしらなかった。

もちろん、あまりにひどいと哀しくはなっていたが、意地悪な気持ちなどわからなかった。

知的障がいのある彼の特性なのかもしれない。

わかり始めても、からあげくんは無知ゆえのことば選びの間違いを教えることはあったが、悪意を諌める事は一度もなかった。

私の教えなど何もない。

ほっておいたが優しくまっすぐ育った。

信じすぎることで騙され、大変なことに巻き込まれたことはあったが。

騙す方ではなくて良かった。

 

からあげくんの純粋な心はわたしやとんかつくんの気持ちも純な方に引き寄せてくれる。

 

だけどな。

簡単に騙されるからあげくんを見ていると私は気を付けねば、疑う心もしっかりもっていないといけないと、矛盾した気持ちもわくのだ。

悪意は悪意を引き寄せる。

善意は善意を引き寄せる。

だからだろうか?からあげくんは比較的恵まれている。

 

しかし息子のような人を鴨にして胸を痛めないひとも、顔を歪めるのを心底嬉しそうにするひともいるのだ。

なんて世知辛い世の中なんだ。

 

心配だけど

私は今のからあげくんがだいすきなんだ。

 


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